医薬品医療機器等法(薬機法)の過剰規制がようやく一般紙で報道された。12月2日付朝日新聞27面の薬不足に関する記事で、神奈川県立保健福祉大学シニアフェローの坂巻弘之氏が対策として「国際的に『厳しすぎる』とも言われる規制見直しの検討も必要」と述べた。
著名なGMP専門家は「厚生労働省の薬事規制は枝葉末節を問題にして、欠品を起こしている。旧化学及血清療法研究所不正後の一斉点検(16年)で7割が承認書と製造実態との齟齬。毎年齟齬チェックをさせた。その後も齟齬で製品回収。9年後の今回10月末までの点検で4割の齟齬(ジェネリック)。これはこのルールがおかしい。守ることがとても難しい。問題は厚労省がちょっとした齟齬で製品回収をどんどんさせたので欠品したことにある」と指摘している。また、「厚労省が自ら安定供給を守らないことをしている。この本質を言う厚労省会議の委員・構成員がいないことも問題だと思う」と付け加える。
23年の日本原子力学会春の年会における発表「企業風土を考える」では、「過剰規制が日本企業の柔軟性と機動力を奪い、生産性・モチベーションが高まらない」「効果の低い規制の縛りによる閉塞感から、不正の芽を生む恐れが消えない」とあるが、製薬業界を思い起こさせる。おかしいと思っても声を上げない経営者そして何より声を上げさせない薬系技官・法令事務官の罪は大きい。とくに、数年前か当時の医薬局総務課長が「医薬品不足なら薬局間で融通して」と言って、SNS上で荒れたことがあった。その後役所が圧力をかけて最大の日刊業界誌で発言を訂正させたことがあったが、この課長が最も前時代的であり、上司の局長も責任があるのではないか。